VOL.21
ヘビースモーカーがかかりやすい病気――といえば真っ先に挙げられるのが「肺がん」。
だが、恐ろしいのは肺がんばかりではない。
じつは今、ある呼吸器系疾患の急増に、WHOが警鐘を鳴らしているのだ。
その名は「慢性閉塞性肺疾患」、別名「COPD」。
とくに中高年の男性は要注意!働き盛りにしのびよる疾患の正体に迫ってみよう。
慢性閉塞性肺疾患とは、肺気腫と慢性気管支炎を合わせた呼び名だ。患者のほとんどが喫煙者であるため、「たばこ病」とも呼ばれる。肺に炎症が生じ、慢性的な呼吸困難に陥る病気である。現在この病気は、なんと世界の死亡原因の第4位。今後いよいよ患者数や死亡率が高まるとされている。
1996年、旧厚生省がおこなった調査では、日本における患者数は約22万人だった。しかし、その5年後に発表された疫学調査によれば、診断を受けていない人を含めると、患者数は約530万人いることが明らかとなっている。40歳以上の有病率は、なんと8.5%だ。言いかえれば、それだけ「隠れ患者」が多いということだろう。死亡者は年間で約1万3000人。国内では死因の第10位となっている。
もっとも患者はヘビースモーカーばかりではない。喫煙者の出す煙を吸い込んでいる「受動喫煙者」もまた、発症リスクを背負い込んでいるという。さらに、空中の塵埃や化学物質によって発病することもある。鉱山や建築現場、化学工場、牧場、ペットショップなどで働いている人は、とくに危険だ。
「これくらいならたいしたことはない」と思っているあなた!下の計算式によって、慢性閉塞性肺疾患リスク度を計算してみてほしい。
答えが20以上なら、発症の可能性は高い!また、その場合、家族や周りにいる人のリスクをも高めていることになる。
慢性閉塞性肺疾患リスク度 = [一日に吸う本数] × [年数] ÷ 20 |
そのほか、下の項目のうち2つ以上があてはまる人も要注意だ。 □ 年齢が50歳以上 □ 時折、息苦しくなる □ せきやたんが出やすい □ よく動悸がする □ 坂道や階段を上がるとき、途中でつらくなる □ 夜、呼吸が苦しくて目がさめる □ 職場や家の中がほこりっぽい、または交通量が多い □ 子供のころは風邪をひきやすかった。または、ぜんそく、肺炎になったことがある □ 両親や子ども、兄弟姉妹にぜんそく患者や呼吸器系疾患の人がいる |
喫煙している人なら、まずは禁煙することが大前提。それ以外の原因があれば、ただちに環境を変えるようにする。お酒も極力控え、食事は消化のよいものを4、5回に分けて摂る。
症状や重症度にもよるが、おもな治療法は薬物治療、リハビリテーション、酸素療法の3つ。このほか、肥大した肺の一部を除去する外科手術をおこなうこともある。
コラム: 苦しくなったら・・・口すぼめ呼吸息苦しくなったとき、役立つのが「口すぼめ呼吸」。隔膜の機能が改善され、息切れがラクになる。 (1)テーブルなどに腕や手をついて体を支える。 |
|
お問い合わせ 品川区荏原2-16-19 03(3781)7267 |