VOL.22
緑茶に癌(がん)の予防作用のあることは知られているが、
新たな研究で緑茶の効果が発見された!
緑茶に癌(がん)の予防作用のあることは知られているが、新たな研究で特定の自己免疫疾患を予防する効果もあることが明らかにされた。米ジョージア医科大学(アトランタ)歯学部准教授のStephen
Hsu氏は、緑茶が免疫応答を引き起こす物質として体内で産生される抗原の発現を抑制すると説明する。アトランタで開かれる米国関節炎財団主催の関節炎研究会議で発表される予定(6月19日発表済み)。
Hsu氏は、緑茶に含まれる、炎症を抑制し皮膚および唾液腺細胞に対して効果を有する物質EGCGに着目した。自己免疫疾患には、唾液腺が冒されて口渇を引き起こすシェーグレン症候群や、皮膚が冒される狼瘡(ろうそう=lupus)などがある。
Hsu氏らは、ヒト細胞由来の自己抗原130個を単離し、EGCGに曝露した。自己抗原は体内で有用な機能を果たす分子だが、産生量や産生部位が変動すると生体にとって不都合な免疫応答を引き起こす。この自己抗原130個のうち、EGCGへの曝露によって「大部分は抑制されるか変化しなかったが、その中でもかぎとなるグループの自己抗原は抑制された」という。
Hsu氏は「研究は極めて初期段階のものだが、緑茶は自己抗原による攻撃から細胞を防御する働きをもつ可能性が考えられる」と述べている。また同大学の研究者らは、EGCGは炎症抑制作用のほか、自己抗原に対する調節作用も有すると推測している。
米ウィスコンシン大学(マディソン)皮膚科学助教授で、1999年にマウスで緑茶ポリフェノール(このうちの1つがEGCG)が関節炎を予防することを明らかにした研究に参加したNihal
Ahmad氏は、今回の研究が「重要な始まり」としている。同氏は「この研究結果は大きな可能性を秘めており、さらなる研究が必要だが、細胞培養研究の観点から言えば、非常に有望と考えられる」と述べている。
緑茶の摂取が健康にもたらす有益性は何世紀にもわたって報告されてきたが、ごく最近になって薬用としての特性が科学的に研究されるようになった。
その結果、緑茶摂取と皮膚癌、乳癌、肺癌、結腸癌、食道癌および膀胱癌など数種の癌発生リスクの低下との間に何らかの関係が認められることが判明した。また、緑茶、紅茶およびウーロン茶に含まれる抗酸化物質によって、LDL(悪玉)コレステロールの酸化が阻害されHDL(善玉)コレステロール値が増大し、動脈機能が改善することが明らかにされている。
「ハーバード大学女性の健康を守る会(Harvard Women's Health Watch)」によるお茶の摂取に関する推奨事項を下記に示す。
・緑茶を摂取する習慣のある地域では、1日3杯が典型的な摂取量である。
・疾患を予防する栄養分を吸収するためには、入れる際に3〜5分浸し、その直後に飲むのが最もよい。カフェイン抜きの緑茶や出来合いのもの、インスタントの緑茶はこうした栄養分が少ない。
・緑茶は果物や野菜に含まれる鉄分の吸収を妨げる。レモン果汁や牛乳を加えれば、この問題を解決することができる。
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